とうとうあのふんわりしたやつを食べてやった。
秩父の上長瀞にある、阿左美冷蔵のかき氷。
二年くらい前、ある雑誌の一ページにあった、そのふんわりしたビジュアルにもぅノックアウト。
切り取って、ぺたりと手帳に貼付けてから、・・・あっと言う間に二度目の夏が過ぎちゃった。
今年こそは。
そしてようやくその日がやってきた。
明治23年創業、天然氷の氷屋さん、阿左美冷蔵。
9月に入ってもなお、相変わらず蒸し暑い日曜日の正午すぎ。
上長瀞駅から歩いて少しのところにある阿左美冷蔵は、すでに長蛇の列…。
途中、警備員のおっちゃんが「水蒔くので、列を少し変えま〜す、協力してください〜」と、ざっと200人くらい?いそうな列の並び替えを強行したのだけれど、入り口部分にちょこっと水蒔いただけ…
全然涼しくなんないじゃん! 周りも苦笑。
そんな熱中症との戦いの中待つこと約一時間半。
ようやくお店のおばあちゃんが、メニューを持って、やってきた。
「まるごとみかん」と「こだわり白桃」の一騎打ちで、激しい格闘の末、ここは白桃でいくことに。
「"天然水"の美味とは?これです ※蔵元秘伝みつのかき氷 白あん付き 1000円」
「これです」とか言われちゃうとねぇ。
えらい気にはなったものの…、あんこは苦手なので、残念だけどトライできず。
相方は、一寸の迷いもなく、「甘酒で。」
横のほうでは、この頃(13時半くらい)には警備員さんが「二時間待ちですね」とか説明していたな…
人増え続けてる…
そしてそして、ようやく念願のかき氷!
ふんわりと、思っていたよりずいぶんと立派に高く積み上げられたかき氷は、口に含むとシャクシャクと噛める!
天然の優しい桃色のシロップも、ふわりと広がるほどよい甘さで、なんとも美味しい。
中盤になってきて、別添の練乳を少しかけてピーチミルクにしてみたら、これがまた甘〜く柔らかで美味しい♪
店内で食べたのだけれど、古民家を元にしている店内は雰囲気が良く、並んでいる方々に申し訳ないと思いつつも、ついついゆっくりとした時間の流れの中に身を委ねてしまった。
少し薄曇りの光が差し込む窓辺が、かき氷の雰囲気と良くあっていた。
秩父は、ちょっと青春な思い出のある場所。
まだ高校生だった時。
一人学校をさぼって、切符の中では一番安い入場券で、電車に揺られて二時間、秩父に向かった。
新緑の季節から秋口にかけて、深い緑の中を走り抜ける電車の車窓を流れる景色をただ観ているのが好きだった。
終点の西武秩父駅で電車を降り、プラットフォームでベンチに座って、目の前に広がる山々の緑を、ただただぼーっと気の向くままに眺めていたりした。
ただそれだけで良くて、その頃はまだ、その地にある美味しいものを食べようなんて思いつきもしなかった。
その景色が、あの頃の私には常にどこかにあって、つい、また学校とは別方向の秩父方面の電車に乗ってしまう日が、高校生活では時々あった。
高麗川にスイカを浮かべたことも、笑っただけでぐらぐらと揺れるロッジで、豪雨の中友達と笑い死にしそうになりながら一晩を過ごしたことも、夜空の星の数にみんなで涙したことも、みんな秩父に来ると思い出す。
秩父の天然氷で作った美味しいかき氷。
なんだか、特別なかき氷だった。
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