2013.01.02 |
実家で買っていた、かわいいかわいい愛犬、ククが、
15年の犬生を閉じ、遠くへ旅立った。
年が明けて、まだ間もない、
2013年1月19日の14:48。
「くくこときれる。残念無念」
という悲しいメールを、父から受け取った。
数時間後にようやく実家にたどり着く。
お座敷に横たわっている、眠っているようなククは、
確かに冷たかった。
この土曜日から、出棺を見届けた月曜日のお昼時までは、
ひたすら悲しみに浸かり、ずいぶんと泣いた。
ククと、二人っきりになれた時、
ククの名前を、何度も何度も、何度も呼んで、
少しだけ声をあげて、思いっきり泣いた。
まだ雪が少し残る、とても寒い空気の中での出棺は、
圧倒的な悲しさだった。
お迎えの車が去っていくのを見届ける母の背中は、
とても小さくて悲しくて、
圧倒的な悲しさだった。
家に入り、
突き動かされるようにお仏壇の扉を開き、
ろうそくに火を灯し、お線香を立て、
鈴を一回鳴らし、手を合わせた。
心が鎮まっていくのを感じた。
「死」を受け入れていくいくつかの儀式を済ませると、
"いつもの日々"が待っていた。
自宅に戻り、
オフィスで打ち合わせをして、
電車に揺られて、
ごはんを作って、
買い物をして、
あまりに "いつもの日々" が淡々と流れていって、
ふっとした日常の合間にククを想わない日はなくとも、
それはどこか、まだよそよそしいような感覚だった。
涙を流すことはなかった。
そんな "いつもの日々" の一週間と少しが過ぎた一昨日の夜中、
眠りにつく前の、日記を書くいつもの時間、
なんの気なしに、ぱたっと開いたそのページは、お正月のページ。
お正月に撮った、ククの写真がいくつか貼ってあった。
ぽかぽかとした日差しのなか、私の腕に抱かれて、すっかりまどろんでいるクク。
そして、こちらを見ている、幸せそうな自分。
「あ」
と思ったら、もう涙がぽたぽたぽたぽた。もう止まらなかった。
堰を切ったように、とはこのことか。
隣に寝ている人がいなかったら、ちっちゃい子どもみたいに、
うわぁーって、わぁぁん、って、声を出して泣いていたと思う。
実際には、ガマンしてたから、ぐぅっとか、うぐぇっとか、変な音だったけど。
次から次へと、ぽろぽろと泣いた。
もうなんだか、とにかく泣いた。
一報を聞き、駆けつけた土曜日の夜、
確かにククは冷たくなっていた。
でも、
逆三角形に垂れた耳の裏側の付け根の辺りには、
まだほんのりと、くくの温かさを感じることができた。
ブランケットをかけられた背中にも、少しの温かさを、感じられるような気がした。
子供の頃をずっとずっと一緒に過ごした妹は、
仕事の関係で、一夜明けた次の日の夜に、ようやくククと会うことができた。
その頃には、耳の裏側の付け根も、すっかり冷たくなってしまっていた。
それが、悲しくて悲しくて、しかたなかった。
写真には映らない、ククの温もりを、
ずっとずっと、ずっと、覚えていたいと思う。
ククの旅路が、穏やかでありますように。
いつか、夢に出てきてね。あせらずに、そのときを待っています。
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